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労働条件の決定

第2条 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
② 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

一般的に労働者は使用者に対して経済的に弱い立場にあります。そこで、労働組合法は、労働者に団結権、団体交渉権、団体行動権を認めることによって、労働者と使用者が対等の立場で労働条件について交渉できるよう配慮しています。対等の立場の促進は、直接的には労働組合法の目的とするところですが、労働条件は、基本的には、使用者とひとりひとりの労働者との話合いで決定されるものですから、この条においても対等の立場という原則を明らかにしています。また、決定された労働条件は、具体的には、労
働協約、就業規則、労働契約といったかたちになりますが、労働者と使用者は、労働協約、就業規則、労働契約を誠意をもって守らなければならないとしています。

ポイント

対等の立場
「対等の立場」とは、形式的なものではなく実質的に対等の立場をいいます。しかし、「対等の立場」というのは、一人ひとりの労働者と使用者の間では事実上困難ですので、団結権、団体交渉権の保護が「対等の立場」を確保する働きをします。
この条は、「対等の立場」という原則を明らかにしているだけで、実際に労働組合があるかどうか、また、団体交渉で労働条件を決定したかどうかといったことまで問題とするものではありません。

労働協約等の遵守
労働協約、就業規則および労働契約を遵守し、労働契約を労使双方が誠実に守るべきことは当然ですが、労働協約や就業規則を守らなければならないというのは、多少問題があります。つまり、労働協約については、労働協約を締結した当事者である労働組合と使用者には守らなければならない義務があるとしても、一人ひとりの労働者まではそのような義務を負わないのではないかという点、また、就業規則は使用者が一方的に作成するものであり、労働者に就業規則を守らなければならない義務があるというのは不合理ではないかといった点が挙げられます。しかし、この条の遵守義務はあくまで訓示的なものと解釈されていますし、労働条件は、労働協約、就業規則、労働契約を通じて全体的に形成されるものですから、それぞれについて遵守義務が定められているからといって、これを不合理であるとはいえません。
なお、労働契約法3条4項は、「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。」と規定して民事上の信義誠実の原則を取り入れ、労働契約に関しては、本条2項よりも広くその遵守義務をうたっています。

本条違反
この条の2項については、罰則の定めがありません。また、2項が訓示的な定めと解釈されている以上、義務違反があっても、それは直接この条にかかわる問題ではありません。ですから、この条について労働基準監督機関がその職権を行使することもあり得ません(昭23・7・13基発1016、昭63・3・14基発150)。

法2条と監督機関
労働基準法第2条は労働条件の決定及び之に伴う両当事者の義務に関する一般的原則を宣言する規定であるにとどまり、監督機関は右の一般的原則を具体的に適用すべき責務を負う機関ではないので、労働協約、就業規則又は労働契約の履行に関する争いについては、それが労働基準法各本条の規定に抵触するものでない限り、監督権行使に類する積極的な措置をなすべきものではなく、当事者間の交渉により、又
はあっせん、調停、仲裁等の紛争処理機関、民事裁判所等において処理されるべきものであること。
(昭23・7・13基発1016、昭63・3・14基発150)